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2019年10月3日 雑記

EC時代のテクノロジー、中国JD.comは自動化で「虎に翼」?


Amazonをはじめインターネット通販(以下、EC) の利用は世界中で広がっていますね。なんでもネットでワンクリックで購入ができ、数日中には手元に届く時代になって、今後はリアル店舗のあり方も見直しが必要で、対面サービスの在り方も変革のときだと言われています。
便利なEC時代の実現は、その「物流・配送」を支えるテクノロジーがあってこそ。今回の記事では今中国で話題のEC企業、JD.comの物流テクノロジーをテーマに最新の自動化テクノロジーをご紹介します。

中国で勢いに乗るJD.com その自動化戦略とは?


19世紀の中国、清朝は欧米から「眠れる獅子」と言われてその潜在能力を恐れられていたという話がありますが、今はテクノロジー大国として勢いづく中国を誰も「眠れる」とは表現できないでしょう。中国企業のテクノロジー開発と実用化の早さには、驚かされるばかりです。 中国政府は2025年までにロボティクス、電動自動車、コンピューターチップ等の分野でグローバルレベルの生産国となることを目指し“Made in Chine 2025”を掲げています。2018年欧州連合が発表したレポートによると、この発表に対してヨーロッパ諸国の多くが中国の成長に恐れを抱いていると伝えています。

また、2019年BrandZ™から発表された世界トップ100ブランドのうち中国企業を抜粋したランキングを見てみるとグローバルレベルでトップブランドに食い込んでいるのは、中国のテクノロジー企業が目立ちます。(詳細レポートはこちらから>BrandZ Top Global Brands)

このようなカルチャーのなかでトップ100ランキングに入る中国企業のなかには、IT分野の本業でなくても最新テクノロジーを活用して戦略を展開している企業が多くあります。 なかでも、現地の若い世代の間で話題になっているのはEC企業のジンドン / 京東商城(以下、JD.com)です。JD.comはアリババグループの天猫 (Tmall)に次いで二番手であるものの、各地に置いた拠点からの物流網を駆使して中国全土に即日・翌日配送を行うことで人気を集めているとのこと。あの広い中国大陸で、これはかなり凄いことですね。

JD.comのスピーディーな配送を可能にしているのは、物流センターの自動化ロボットです。まずはこちらの動画をご覧ください。


物流センターといえば長いベルトコンベアーの上を段ボールが流れていく姿を思い浮かべますが、JD.comのセンターではロボットが配送エリアごとに荷物の仕分けをするべく、センター内を縦横無尽に駆け回っています。人間の手を借りているものの、ロボットに荷物を載せるだけで重量計算からバーコードのスキャン、荷物の仕分けまでほとんど自動で行ってくれるシステムです。日本でも工場や物流センターの自動化という文脈でロボットケーブルを搭載したシステムが自動化を担うという例も増えてきていますが、JD.comのような大手企業がここまで大規模の物流センターで自動化を実現しているとなると説得力が違います。

またJD.comは配送センターの自動化テクノロジーだけでなく、ドローンによる配送の実現にも注力しています。WIREDによるとJD.comでは2016年からドローンによる商品配送を行っているとのこと。以下の写真は陝西省の西安に到着した配送用ドローンの様子。このドローンは2. 3kmの距離を約5分で飛行するとのことです。同社によると2021年ごろまでに数千台の規模で配送用ドローンを所有する予定だと言います。最先端の物流倉庫を持つJD.comがドローンという「翼」を得たとき、まさに「虎に翼」の無双企業の誕生と言えるでしょう。

どうなる?今後の日本の物流配送の未来?


日本でAmazonをはじめとするEC通販を全く利用したことがないという人は年々減少傾向にある。世代を問わず、便利なネットショッピングが受け入れられる時代になっています。その一方で「宅配クライシス」と呼ばれる物流量増加による配送業者の過労働、再配達の負担増、トラックドライバーの不足、それに伴う送料値上げなど課題も山積しています。日本の物流問題の全体を解決しようとすると、利害関係のある「登場人物」が多すぎて困難であるため、国内メーカーは自社内の物流センター内改革から着手するという例が増えています。

GEMBAの取材によると、ホームファッションで人気のあるニトリの物流機能を担う株式会社ホームロジスティクスは2016年2月から、自社倉庫で自動ロボット「オートストア」を導入した。主に小物を対象に庫内の保管、入出庫の業務を自動化ロボットが担うことで配送の高速化、人材の負荷軽減にいち早く取り組んでいます。

物流・配送は人間の作業効率や作業の仕組みと密接に関わります。そのため組織体制や商慣習を深く理解して、全社的な理解を得て進める必要があります。国内で深刻な物流・配送問題にこのように早くから切り込んでいけるのは、ニトリが「製造“物流”企業」として徹底した企業戦略と組織改革を行っていることに起因しているでしょう。すべての国内企業が変革をすることは難しいと言えるでしょう。しかし、今後は多くの企業がこのような革新的な企業をベンチマークに、本格的なテクノロジー導入と自動化の取り組みを進めていくことが求められます。

また、今後はメーカー各社、物流会社、消費者といったプラットフォーム全体で一貫した自動化、機械化、省力化が進められていくことでしょう。一足先に発展を進めるJD.comを横目に、これから日本の物流・配送問題がどのように変わっていくか、その動向を見守っていきましょう。
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